中国の“ゼロマイル中古車”輸出とは?──地方政府が後押しする販売水増しの実態と世界への影響 - human joint

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中国の“ゼロマイル中古車”輸出とは?──地方政府が後押しする販売水増しの実態と世界への影響

イントロダクション

中国の自動車市場は世界最大規模ですが、近年「ゼロマイル中古車」と呼ばれる奇妙なカテゴリーが急速に存在感を高めています。新車として製造された車両が国内で登録された直後、走行距離ほぼゼロのまま中古車として海外へ輸出される――数字だけを見れば販売台数が増え、地方経済が潤ったように見えるスキームです。本記事では、その仕組みと影響を紐解いていきます。

1. ゼロマイル中古車とは何か

通常、車両は新車か中古車かで扱いが大きく異なります。しかしゼロマイル中古車は、走行距離0kmにもかかわらず“中古”として登録され、即座に国外へ送り出されます。統計上は「新車販売」と「中古車輸出」の両方に計上できるため、国内販売数を水増ししつつ輸出実績も作れるという一石二鳥の仕組みです。

2. 地方政府が支援する理由と仕組み

中国の地方政府はGDP成長率や雇用創出を成果として中央に報告する必要があります。そのため、

  • 追加ナンバー枠の発行で一時的に登録台数を拡大
  • 税還付や書類手続きの簡素化によるコスト削減
  • 輸出用港湾インフラへの優先的なアクセス

といったインセンティブを自動車メーカーに提供。メーカー側は「まず登録して販売実績を作り、すぐ輸出して現金化」というサイクルを回しやすくなります。結果として地方の統計資料には販売台数が大幅に増加したように映り、行政としての“成果”が強調されるわけです。

3. 業界・国際社会が抱く懸念

表面的にはウィンウィンに見えるゼロマイル中古車輸出ですが、複数のリスクが指摘されています。

3-1 価格下落とブランドイメージの毀損

ほぼ新車の車両が大量に海外へ流入すれば、現地の中古車相場を急落させる可能性が高いです。中国ブランドのみならず、同セグメント車全体の価値を押し下げ、長期的にはメーカー自身の利益を蝕む恐れがあります。

3-2 ダンピング疑惑と規制強化

ロシアや中東などの新興市場では、中国製ゼロマイル車が既存メーカーのシェアを短期間で奪取しています。そのため各国政府はダンピング認定を検討し、関税引き上げや輸入枠設定などの規制を強化する動きを見せています。欧州でも同様の議論が始まり、中国メーカーにとっては新たな貿易摩擦の火種となりかねません。

4. 重要なデータと洞察

2024年、中国から輸出された中古車の約90%がゼロマイル車だったと推計されています。地方政府主導の輸出支援は短期的に販売台数を押し上げ、市場から“余剰在庫”を排出するうえで有効です。しかし過剰なインセンティブが続けば、国際的な規制強化→輸出減少→国内在庫の再膨張という負のループを招く可能性があります。

5. 今後の展望

ゼロマイル中古車の輸出は、中国自動車産業の柔軟さと大胆さを示す一方で、市場メカニズムをゆがめる側面も無視できません。中国政府が掲げる「質の高い発展」に向けては、短期的な数字合わせではなく、ブランド価値やアフターサービスを含めた総合力で海外市場と向き合う必要があります。

海外の規制が本格化する前に、メーカー・地方政府・中央政府が協調し、より持続的な輸出モデルを構築できるかが今後の焦点となるでしょう。

まとめ

ゼロマイル中古車スキームは、中国の販売統計に“魔法”をかける一方で、国際社会との摩擦を生む両刃の剣です。数字では測れない長期的リスクに目を向け、健全な競争環境を整えることが、中国メーカーの真価を世界に示すカギとなるはずです。

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