【現地レポート】千葉・野田「USS東京」―1日1万7500台が集う“中古車の海”の全貌

1. USS東京会場のスケール感を数字で実感

千葉県野田市――利根運河沿いの広大な土地に、平均1日1万7500台もの中古車が集結する“USS東京”は存在します。その敷地面積は東京ドーム約14個分。取材日の午前9時、開門チャイムと同時に色とりどりの車両が動き出し、まさに“中古車の海”がざわめき始めました。

ラインアップはフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーから、通勤の足に最適な軽自動車、さらには商用バンまで網羅。高額帯と生活密着帯が同一フロアで並ぶ光景は、まさにUSS東京ならではの醍醐味です。取扱い台数が“桁違い”だからこそ、バイヤーは『比較』『目利き』『即仕入れ』の三拍子を一気に進められるわけです。

2. 顧客目線の競売システム

大量在庫をスムーズにさばく鍵は競売システムにあります。USS東京では同時競りラインを従来の4本から現在は6本へ拡大。1分間に平均30台が落札され、会場全体の回転率が約25％向上しました。

さらに、コロナ禍を機にオンライン競りを一気に拡充。都内はもちろん、北海道や九州、さらには海外ディーラーもリアルタイムで参加できるようになり、流通が“全国”から“全世界”へシフトしています。これにより落札価格は市場適正値に収れんしやすく、売り手・買い手双方の納得度も高まるといいます。

3. さらなる拡張―立体駐車場増設計画

USS東京は2025年秋をめどに5層構造・収容6,000台規模の立体駐車場を増設予定です。その狙いは二つ。第一に物理的キャパシティの拡大。今後も高水準が続く中古車取引量に対応し、『1日2万台体制』を視野に入れます。

第二に環境負荷の低減。天井に太陽光パネルを敷設し、場内照明を100％再生可能エネルギーで賄う計画です。加えて、ピッキングルートを見直すことで車両移動距離を約20％短縮。CO2排出と人件コスト、どちらも削減する“スマートヤード”を目指しています。

4. 取材を終えて―市場インパクトと差別化の核心

1日平均1万7500台という圧倒的な在庫量は、国内の中古車相場だけでなく、海外リセールバリュー形成にも影響を与えています。特に輸出向けSUVやハイブリッド車は1台の落札価格変動が即座に世界相場へ波及するほど。まさにUSS東京は価格決定メカニズムの“震源地”といえるでしょう。

また、立体駐車場に象徴される積極的なインフラ投資が、そのまま競合との差別化ポイントになっています。ビジネスは「量と質の拡大」に挑み続けるところにこそ活路がある――そんな経営の腹決めが、会場の隅々から伝わってきました。

もしあなたが中古車ビジネスに携わっているなら、一度は現地の空気を吸ってみることを強くおすすめします。“中古車の海”の大潮を肌で感じる――そこから次のビジネスヒントが必ず見えてくるはずです。